|  | 『カイザーさんクリニックに来てください・・・!』。 |  | 
								
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									|  | ----- Original Message -----
 From: Y.K
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Saturday, November 19, 2005 6:55 PM
 Subject: お問い合わせ
 
 
 はじめまして、Y.Kと申します。
 はじめてメール致します。
 
 当方、オーディオに関してはズブの素人に近いのですが、今回引越しを機に友人よりノーチラスの802とマッキントッシュのプリメインアンプMA6900を譲り受けました。まだCDは買っていません。ひととおり機材を揃えてセッティングをお願いできたらと思っております。
 
 と同時に、御社のRK-BWを使用したいと考えています。それと悩んでいるのはケーブル関係です。まだスピーカーケーブル、ピンケーブルも購入しておりません。もし同時にアドバイス頂けるのなら手配もお願いしたいと考えております。
 
 ばくっとお見積もり頂けますか?。よろしくお願いいたします。ケーブルは上を見たらきりがないので、そこそこの物でいいです。私がよく聞くのはクラッシック、ジャズが多いです。よろしくお願いいたします。
 
 購入品
 a)スピーカーケーブル 5m&2m
 b)RK-BW
 c)ピンケーブル 1本(1m以内でOK)
 d)セッティング
 
 東京都渋谷
 Y.K
 
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									|  |  渋谷のど真ん中はまるで迷路です |  | 
								
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											以上のようなメールを頂戴したことから始まった今回の仕事ですが、ローゼンクランツのインシュレーターをお使いのご友人の紹介がきっかけとなり、その後当社のウェブの内容を見てセッティングを頼みたい気持ちになったそうです。渋谷の駅から歩いてほんの数分のところにある桜丘町というところは、坂道で道路が狭く一方通行ばかりですから一度間違うと目的地にたどり着くのに大変です。
 
 
  精巧に出来ているパイオニアのナビでも限界を感じ、電話をかけ迎えに出てもらう事にしました。外観から見て築20年位の賃貸マンションかなと思ってお尋ねしますと、35年物をごく最近購入されたそうです。この地区ですと、いくら古くても需要の数の方が供給より上回り、直ぐに売れたり埋まったりするのだそうです。
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									|  |  見事なAV機器のレイアウト |  | 
								
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  部屋に案内されての第一印象。アルミ製の組み立て式ラックにプラズマディスプレイとコンポ一式をきれいにセットしておられます。デザインセンスが抜群です。ワイルドなシルバーソリッドアルミの棚に黒一色のハイテクメカですから、色、素材、機能、部屋まで含めた複合的というか多面的なコントラストが見事です。お互いが引き立て合うとこんな効果をもたらすのかと感心させられました。 
 一流のスタイリストの手にかかると、平凡な人でもまるで映画スターのように変身してしまうのに似ています。そんな話をしますと、Y.Kさんは照れくさそうに、実は有名ブランドのGパンの仕事をしていると教えてくれました。最初から只者ではないと思っておりましたが、やっと納得です。
 
 また、音の面からいっても、ルックス的にも、6個の機材を私でもそこにしか設置しないというフォーメーションになっているのにはビックリしました。上の段の左にアナログプレーヤー、そのすぐ下にCDトランスポート、すなわち操作系が左の上下に配置されていて、その後、すっと手がボリュームに行くように、右横、すなわち中央の上の段にマッキンのプリメインアンプです。2個のブルーのVUメーターが美しく輝いて見えます。このデザインは本当に様になります。
 
 また、対になるエソテリックのDAコンバーターは右下ですから、まるで横綱のマッキンの両脇を固める露払いと太刀持ちのような構えになっているのです。右の上には真空管アンプ275のレプリカモデルが鎮座しています。基本に忠実な完璧なレイアウトですから、私が何もしなくてもこの時点で良い音が出て来てもおかしくありません。ローゼンクランツ流である、左から右に信号を流すのと同じなのです。
 
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									|  |  スピーカーの設置場所探し |  | 
								
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									|  | 部屋の内装は一新されていますが、床はご他聞に漏れず、緩衝材が下地に敷かれた”うにゅ”、”うにゅ”としたものです。出来ればご自分で用意した御影石を使って欲しいというのがご希望のようです。でも、”それだけは音にならないから勘弁して欲しい”と私は心の中で独り言をつぶやいております。
 
 802の底に付いているローリングキャスターは、音とは別に動かす度に床に傷を付けてしまうのが難点です。そこで暫定的とは言え、音の良い場所と良くない場所を体験して頂く為に、スピーカーを前後左右に動かす必要があります。
 
 「座布団のような物はありますでしょうか?」。
 
 『こんなGパンの生地ならありますが、駄目ですか?』。
 
 「いえ、いえ、結構です」。
 
 布地の上に載せた802を自在に動かし、一番音が良いと思われる場所に移動させ、Y.Kさんに尋ねます。
 
 「生活空間としてこの場所にスピーカーを置くのはありでしょうか?」。
 
 『ちょっと圧迫感があって拙いですねぇ・・・』。
 
 
 
  「なにわともあれ、実際に音を出してみますので、それをお聴きになった上で考えてみて下さい」。 
 私の判断では結構良い音です。
 
 しかし、今鳴っている音が良いのか?、そうでないのか・・・?、Y.Kさんには判るはずがありません。
 
 なぜならば、この部屋で802が発した初めての音だからです。
 
 そうです、比較する材料が何も無いのです。
 
 「次はですねぇ、一番良くないと思われる場所の音を聴いて頂きます」。
 
 「如何でしょうか?」。
 
 
  『いくらなんでも、この音は頂けません。』 
 『置き場所だけでこんなに違うんですか!?・・・』。
 
 『先ほどのような音を聴かされたら、多少前にせり出しても最初の場所で設定して欲しいです』。
 
 「分かりました、それでは先ほどの位置で行きましょう」。
 
 今日の私にとっての音作りの構想は三段構えです。先ずは部屋の最適ポジションにスピーカーをセットし、次にはRK-BWのインシュレーターとしての能力で音の基本的な底上げを図ります。その後、サウンドステーションの威力をシッカリと体験して頂くというものです。
 
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									|  |  RK-BWの音の効果 |  | 
								
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									|  | 「では次に、ご注文頂いた802用スピーカーのインシュレーター(RK-BW)の取り付けに入りたいと思います」。「今日は特別サービスで各パーツのペアリングを考えた上で組み上げますので、この後の音を楽しみにしていて下さい」。
 
 オリジナルの鉄製ボールキャスターには砂粒状の物が入っており、それが原因となって高音を濁してしまいます。また、そのキャスターの薄いボディーの共振も張りのある中低音を出すには無理があります。その点15ミリ近い肉厚の真鍮で作った「歯と歯茎構造」のRK-BWは、入り口と出口の2ヶ所で強力なフィルタリング効果を見せます。そして、存分な働き手となって、電気による無機的な振動を”瞬々時々”に生きた音楽へと生まれ変わらせるのです。
 
 
  その結果、音楽の微細な情報を聴き手に運んでくれます。激しい音から弱い音まで、ひとつとして意味の無い音はありません。それら全てをスポイルする事なく表現してしまう力は、生き物の英知と何億年の生存淘汰の中で手にした「歯と歯茎の構造」を取り入れた匠の精巧な技によってのみ得られるものなのです。ノーチラスシリーズスピーカーの計り知れない埋もれた能力を引き出す必携のパートナーです。 
 床を除いては、部屋の形状の良さと、もともとのコンポ関係のレイアウトが良いので、ピアノ曲をかけてもロックを聴いてもリズミカルで音楽性豊かな音として鳴っております。思わず身体でリズムを取りたくなるような気持ちの良い音です。特に良かったのはチャカ・カーンのボーカルです。
 
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									|  |  サウンドステーションの能力 |  | 
								
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									|  | この手の緩衝材入りの床の場合、サウンドステーションの威力がめっぽう発揮出来ます。その効果のあり方は一種のドミノ倒しのようなものです。スピーカーから発せられた音楽振動をテンポ良く受け止め、リズミカルに反応し、そのまま部屋の床から壁、そして天井にまで心地良い音楽振動の波動としてプラスの連鎖構造体に作り変えてしまうメカニズムなのです。
 
 
  先日も畳の部屋でセッティングする機会がありましたが、信じられないほどの好結果が出ました。ぼんやりとした低音からはどんな楽器から出ていいる音なのか全く判断がつかないほどでしたが、サウンドステーション導入後にはそれが見事に聞き分けられるようになりました。 
 大方の振動対策グッズは、振動そのものを忌み嫌うあまり、自分自身の剛性を上げる方向に考えが行くようです。こうした方法で振動を制圧しようとしても、必ず反発として返ってきますので決して生の音楽シーンの音には近づきません。
 
 
  元々良い音の出易い部屋であれば、スピーカーボードによる音の差は出たとしても、その点数の底が高いので少々の欠点があったとしても気になり難い状況にあります。したがって、更にその上の音を欲しがる気持ちにはなり難いのです。 
 しかし、物が違うと言っても良い、ローゼンクランツのサウンドステーションは条件が良くないところほど実力を発揮しますので、今日のような床構造の場合ですと、その音の価値は通常の3倍も4倍にもはね上がるのです。
 
 第2段階の音から更にアップしたその音は、何年も掛かってこの部屋で紡ぎ上げて来たかのようなウェルバランスな鳴り方を提示してくれるのですからたまりません。引越し一夜にしてこんな音を出してしまったら、Y.Kさんの回りの何人かのオーディオマニアは授業料を返せと言って来るのではないでしょうか・・・。
 
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